わさびの休み

海だったり山だったり、その他色々書こう!と思っています

敦賀への旅 最終回

カウンター席からは、厨房で料理をする女将さんの後姿を見ることができる。さすがの手際の良さだ。

 

食欲を掻き立てる音が聞こえてくる。油の中できつね色に染まっていくカツの姿がまじまじと想像できた。

 


女将さんが揚がったカツを鍋からトレイに移す。そのとき、端っこのカリッとした部分がコロコロと床を転がっていくのが見えた。「マジか!」と心の中で僕は叫んだ。

 

しばらくして、味噌汁とソースカツ丼が出てきた。


味噌汁は愛知県民には馴染みのない白味噌ソースカツ丼はお米にカツを乗せ、ソースをかけただけのモノだった。ぶっちゃけ、僕の理想とするソースカツ丼だ。

 

ただし、カツの端っこは一切れなかった。

 

味噌汁はダシが効いていて、とても美味しかった。味噌汁で一番大事なのはダシなんだなぁ、と教えて貰った気がする。ソースカツ丼も美味しい。もちろん白味噌も美味しかった。

 

会計のときに、「カツがいつもより少なかったから100円安くするよ」と値を安くしてくれた。そこから会話が生まれ、僕が愛知から来たことを伝えた。

 

「愛知は赤味噌だよね」女将さんは言った。「私、昔ね、一宮にいたんだよ」


一宮は名古屋の北に位置する街だ。

 

そこから味噌談議に発展し、白味噌をスプーンで舐めさせてもらった。

 

僕は料理をしないから、赤味噌とどう違うのかよく分からなかった。でも、なんだか楽しかったのを覚えている。

 

一時間に一本しかない特急の時間が迫っていたので、会計を済まして店を出た。

 

あのお店にまた行きたいな、そんな風に思っている。