敦賀への旅③
怪しげなお店に入ると、カウンター席が10席ほどと、テーブル席が5席ほど並んでいた。
先客のおじさんが一人、お店の女将さんと一緒にカウンターの上に設置されたテレビを見ていた。
女将さんが僕の対応をしてくれた。その間に先客のおじさんが出て行った。
なんだか、おばあちゃんの家に遊びに来たような錯覚を覚えた。メニューを開くと、色んなメニューが並ぶ。これが大衆食堂というやつか?
ソースカツ丼を注文しよう! そう決意したときだった。
お店の奥の方にあるであろう、プライベート用の玄関の開く音が聞こえ、女将さんの孫と孫を抱くお母さん(女将さんの娘さんか、息子の奥さん)の姿が見えた。
女将さんは孫に対し、「楽しかったでちゅか」みたいなノリで話しかける。どこからか大将も現れ、孫と触れ合っていた。
孫との楽しみを奪い、「ソースカツ丼下さい!」と注文できるほどの勇気は持ち合わせていない。僕は、ただただその光景を眺めていた。
孫との触れ合いを終えた女将さんに僕は意を決して言った。
「ソースカツ丼下さい!」
次回、ソースカツ丼を食する。