敦賀への旅①
「そうだ! 日本海へ行こう!」
そう思い立ったのは、秋の日曜日の午前のことだった。何もせずに休みが終わってしまうことを恐れたのだと思う。
どこに行こうかとグーグルマップを見ていると、滋賀県に敦賀という街を見つけた。
僕は学生時代に野球をやっていた。高校野球の名門、敦賀気比高校で敦賀の街に勝手に親しみを持っていたのだ。
カバンに財布と本を入れて家を出た。名古屋駅まで行き、そこから特急『しらさぎ』に乗り込む。
電車に揺られながら宮部みゆきさんの『火車』を開いた。こんなに面白い小説は久々に読んだ気がする。クレジットカードには気を付けようと思った。
米原駅に着くと、「近くの方と協力して座席を回転させてください」という謎の放送が流れた。なんでも、米原駅から電車の進行方向が変わるらしい。まさか電車の中で協力プレイが発生するとは思ってもみなかった。
敦賀に着いたのはお昼ごろだった。
とりあえず日本海を見なければ! と思い歩いた。駅から海までは意外と遠くて大変だ。疲れたが、なんとか日本海を拝むことができた。
目標を達成すると、急に腹が減った。これだけ歩けば腹も減る。
つづく。